European Antiques Stories.

”ヨーロピアン アンティーク ストーリーズ”では、ヨーロッパを中心としたのアンティークの歴史背景や関連の話題を発信しています。

朝のひとときに寄り添う器:カフェオレボウルの魅力

カフェオレボウル 食器・カトラリー
カフェオレボウル

フランスの朝に欠かせない、カフェオレボウル

カフェオレボウルは、19世紀のフランスでは「スープボウル」、現在は「ボウル」または「petit déjeuner bol(プティデジュネボウル)」と呼びました。「朝食用のお椀」という意味です。

呼び方のとおり、19世紀にはスープ用に使われていたのでサイズも今より大きめでした。
スープにパンを浸してスプーンでいただくフランス流の食べ方は後世にもつづき、庶民が気軽にコーヒーを飲めるようになった1900年初頭あたりから日常の食卓で使われ、朝食時にはこのボウルに熱々のカフェオレを注ぎ、パンをひたして食べるのが定番のスタイルでした。取っ手のないこの丸みを帯びた形は、両手で包むように持てるよう工夫されたもの。

心も体も温まる、そんな時間を彩る道具だったのです。
現代ではシリアル食品の普及や、ライフスタイルの変化と共にサイズなどが変化しています。

多彩なデザインと、時代ごとの魅力

1900年代初頭から1950年代にかけて、多くの陶器メーカーがカフェオレボウルを手がけました。リュネヴィル、サンタマン、ジアン、ディゴワン=サルグミンヌなど、フランスを代表する窯元によるものも多く、素朴なストライプ模様、花柄、アルファベット入りなど、時代や地域、用途によって多様なデザインが見られます。

なかには販促用に配られたものや、学校名・子どもの名前が描かれた記念品のようなボウルもあり、それぞれに「その家の物語」が刻まれています。

手にとるとわかる温もり

アンティークのカフェオレボウルは、現代の完璧な量産品にはない、手仕事ならではの揺らぎや素朴さが魅力です。厚みのあるフォルム、釉薬のかかり方のムラ、小さな気泡や貫入(ヒビ模様)さえも味わいとして楽しめます。棚に並べておくだけでも絵になる存在感。もちろん、今でもカフェオレだけでなく、スープやサラダ、果物を盛るなど実用も可能です。

アンティークだからこそ、「今」に似合う

フレンチカントリースタイルはもちろん、和の食卓にもしっくりなじむのがアンティークの良さ。100年近い時を超えてもなお、日々の暮らしに寄り添ってくれる道具たちは、「使う」ことによってさらに魅力を増していきます。

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